ジャンルに沿ったストーリー展開が苦手な人こそ手に取ってほしい作品が、B-clusterの「Re;quartz零度◆後日談ノベルゲーム」です。本作は、全編フルボイスで描かれるノベル形式の作品として、攻略キャラクターの視点から語られます。普通なら避けがちな「後日談」にフォーカスし、全4編の短編が展開される様子は、逆に新鮮で魅力的です。
プレイの感触
「Re;quartz零度」の後日談を描いた本作は、各キャラクターのED後の物語を楽しむことができる点が大きな魅力です。正直に言うと、ノベルゲームにおいて設定やストーリーの続きはあまり期待していなかったのですが、実際にプレイしてみるとその考えは一転しました。各キャラクターの視点で描かれることで、彼らの心情や日常が色鮮やかに浮かび上がり、まるでその世界の住人になったかのような感覚を味わいました。
特に、ボーイズラブというジャンルの中で、フルボイスの演出はその魅力をさらに高めています。声優陣には小林裕介さんや水中雅章さんなどの豪華メンバーが揃っており、各キャラクターの感情がリアルに伝わってきます。自分が好きなキャラクターの心の動きを直接感じられるのは、驚くほど心地よい体験でした。また、シナリオを担当したゆきみなべさんの緻密なプロットが、物語の深みを増しています。
音楽面でも、齋藤優輝さんとSALさんによる楽曲がシーンにしっかりと寄り添い、感情の高まりを助けてくれます。ストーリーに集中できる環境が整っているのが、プレイ中の心地よさを生んでいると感じました。
おすすめしたい層
本作は、特に「Re;quartz」シリーズのファンやボーイズラブの魅力を感じたい方に強くおすすめです。また、後日談という形でのストーリー展開を受け入れられる方にも刺さると思います。逆に、ハッピーエンドのみを求める方やバッドエンドに抵抗がある方には合わないかもしれません。各キャラクターのED後の日常を描くことで、彼らの成長や新たな出発を感じられるのが本作の特徴ですから、ある種の余韻を楽しめる人にはハマるでしょう。
特に、各ルートの結末を知っている人こそが楽しめる作品となっています。プレイし終えた後の余韻に浸りながら、キャラクターたちのその後を想像する楽しさがあり、思わずニヤリとしてしまう瞬間がいくつもありました。ボーイズラブ特有の切なさや甘さを求める方がプレイすれば、より一層その魅力を感じることができるでしょう。
このような要素が詰まった作品で、心の奥底に秘めた感情が呼び起こされると思います。プレイしている最中、何度も「この瞬間をもっと楽しみたい」と感じました。ノベルゲームとしての良さと、ボーイズラブ特有の感情が見事に交差した作品であり、私は心から楽しむことができました。刺さる人には刺さる。